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爬虫類が好きでトカゲモドキを飼っています。飼っている子とは別に家にヤモリの幼体が出ました。かわいいので観察しようとしましたがすばしっこく逃げられ続け、数時間前にガラスのふすまに張り付いているのを発見しました。手で触られるのは怖いだろうと、うちのペットの移動用タッパー(空気穴あり)で捕まえました。 手足や尻尾、目や背の模様などを確認して、この種類かな、あの種類かな、とひとしきり調べました。そして「めっちゃ細くてかわいそうだから、気が向いたら食べな」とうちの子のペットフードをふやかし、細かくしてケースに入れ、しばらくそっとしておこうと席を立ちました。その子の置かれた場所は室温26度、ほか爬虫類のケージ横です。 しばらくして戻るも、彼の動いた形跡はありません。彼の目の前をツンツンとつついてもなんの反応もなく、喉も動いていません。うちのトカゲモドキは寝ていても喉元をひくひくと動かして息をします。その様子も、彼には見られません。 死んでしまったのかもしれない。いや、ヤモリは死んだふりをするらしい。もしかしたら、天敵たる人間から逃れるために死を装っているのかもしれない、と考え、予定通り、蓋を開けて彼を入れ物ごとベランダに出しました。 あの子が本当に死んだとして、なぜなのだろうと考えました。室温は26度と高く、トカゲモドキケージの横だったのであるいは28度くらいはあったかもしれません。容器に入れたあと、大きく揺すったり、振り回すこともしていません。入れ物も、うちで買っている子を諸事情で長距離移動するときに使いましたが、問題ありませんでした。 もしかしたら、と思うことがあります。前々日見かけたときはすごい速さで逃げていったあの子は、私に捕まるとき、結構な距離まで近づいたのにもかかわらず、前足一つ動かさず捕まったのです。彼は幼体でした。成長のためにも、生命維持のためにも、一日に何匹も虫を食べなくてはならなかったはずです。しかし入り込んできた我が家は、虫をよく見るような空間ではありません。つまり、もともと捕食できない日が重なって、弱っていたのではないかと思うのです。弱ったから捕まった。もともと弱っていたから、突然人間に捕まってあまりの恐怖とストレスで、死んでしまったのではないかと気づきました。 あの子が死んでしまっていたのは、私が捕まえたせいです。弱った生体を捕まえて、大はしゃぎで観察してしまった私の落ち度です。もう今後野生の生体は捕まえず、少し離れて観察をするにとどめます。朝起きたとき、あの子がケースの中から姿を消していることを願います。うちに来てくれた幼体のヤモリさん、本当にごめんなさい。私はあなたを捕まえるべきではありませんでした。
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