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第二放送【雑談・コピペ】
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[257]spica1004
KY-42C
2026/07/04 07:06
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【ショートショート】 過保護の先にあるもの
市井たくりゅう
2026年3月2日 06:01
・
「あなたは間違っていない」
母は、いつもそう言った。
幼稚園でおもちゃを取り合って泣かせたときも。
「だって先に使ってたんでしょ? 悪くないよ」
小学校で友達とケンカしたときも。
「相手が意地悪だったのよ。あなたは正しい」
先生に注意された日も。
「先生の言い方が悪いの。あなたは悪くない」
世界は、少し理不尽だった。
でも母の前では、必ず整えられた。
ぼくは、正解だった。
中学、高校。
うまくいかないことがあっても、母に話せば必ず答えは同じだった。
「あなたは悪くない」
だから考えなくてよかった。
相手がどう思ったか。
なぜ怒ったのか。
どこで傷つけたのか。
そんなことを考える必要はなかった。
だって、ぼくは間違っていないのだから。
社会人になった。
会議で企画を否定された。
「それは違うだろ」
上司が言う。
胸が熱くなる。
“違わない。俺は正しい”
そう思った瞬間、言葉が強くなった。
空気が凍った。
後日、呼び出された。
「君は、自分の意見は言う。でも、人の話を聞いていない」
理解できなかった。
だって、間違っていないのに。
恋人ができた。
些細なことで泣かれた。
「そういう言い方、傷つく」
意味がわからない。
事実を言っただけだ。
「でも本当のことだよ?」
彼女は静かに言った。
「正しいかどうかじゃなくて、悲しかったの」
その言葉は、どこにも収納できなかった。
正しいのに、悲しい?
そんな項目、習っていない。
やがて彼女はいなくなった。
上司からの評価も下がった。
帰省した夜、母に言った。
「なんか、みんな俺を誤解する」
母はすぐに答えた。
「あなたは悪くないよ」
その瞬間、胸の奥で何かがひび割れた。
もしかしたら。
ずっと守られていたのは、
ぼくの正しさじゃなくて、
母の安心だったのかもしれない。
翌日、会社で後輩にきつく当たってしまった。
後輩はうつむき、小さく言った。
「すみません」
もしかして、言い方がキツかったか?
ふと、迷う。
“あなたは間違っていない”
母の言葉が頭の中で浮かぶ。
でも初めて、別の疑問が浮かび上がった。
“この人は、今どう感じている?”
答えはわからない。
わからないまま立ち尽くす。
いつも正しかった正解の子は、
初めて間違いの可能性に触れた。
それは敗北ではなく、
ようやく世界に参加する入り口だった。
完

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