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2017/05/02 08:03
【SLIPERより】
文部科学省による「平成26年度学校基本統計調査報告書」1)から得られた学校(園)数と養護教諭数に対する配置率では、幼稚園で12,905園0.03倍、小学校で20,852校1.04倍、中学校で10,557校1.00倍、中等教育学校で51校1.51倍、特別支援学校で1,096校1.67倍となっています。平成13年の教職員定数の改正2)にともない、児童数が851人以上の小学校及び生徒数が801人以上の中学校(中等教育学校の前期課程を含む)、特別支援学校においては小学部及び中学部の児童及び生徒数が61人以上の場合、2人の養護教諭等を配置できるよう複数配置基準が引き下げられました。また、3学級未満の小中学校(中等教育学校の前期課程を含む)と幼稚園・高等学校は、養護教諭等の配置に関して法律条文に掲載されていない2)ため、学校数=養護教諭数ではありませんが、幼稚園では養護教諭の配置がほとんどされていなく、特別支援学校では複数配置が進んでいることが分かります。
また、日本学校保健会による「保健室利用状況に関する調査報告書(平成23年度調査結果)」3)によると、小学校では9.7%、中学校11.5%、高等学校28.4%(幼稚園・中等教育学校・特別支援学校のデータはなし)が複数配置となっています。
インターネット検索で「養護教諭」「複数配置」と入力すると、「悩み」・「辛い」・「課題」・「不仲」・「メリット」・「いやだ」とキーワード入力補助で出てきます。そのような状況から、質問者さんと同じように複数配置で悩んでいる養護教諭が多いのだと推測できます。
複数配置に関わる文献を概観すると、@対応は臨機応変に行う、A役割分担をしている、と大きく二つに分けられます。臨機応変に対応するパターンでは、来室した子どもの希望に沿うようにしていたり、留守にならないように工夫しています。役割分担をしているパターンでは、業務ごとに分けたり、学年で分けていたり、男女一人ずつ配置されている場合は性の特性を生かした役割分担をしているなど様々です。
また、複数配置でよかった例として、心に余裕ができる、多様な問題に複数で対応できる安心感がある、心強いなどがあり、男女一人ずつ配置されている場合は、異性の意見を聞く機会ができることや、多様化する子どものニーズに対して男女両方の視点を活かして対応できると言った記述が見られました。
回答の中にもあったように、じっくり話し合うことが必要なのではないでしょうか?「臨機応変に対応する」パターンでも、よく考えれば役割分担をしているように捉えられます。そして、複数配置であるということは一人ではなく「組織で仕事をしている」ことになると考えられます。「組織」であることを自覚し、打ち合わせを綿密に行うこと、ルールを決めること、また先に勤めていた人や経験の長い人がリーダーシップをとっていくことが必要です。養護教諭は一人職といわれるように「保健室の中で組織で動く」経験が少ないですから、意識して行動しなければならないでしょう。
目の前にいる子どもの発育発達のために、養護教諭が二人いることを有効活用して仕事を進められるようにしましょう。
1)文部科学省「平成26年度学校基本調査報告書(初等中等教育機関専修学校・各種学校編)」pp34-35,pp60-73,pp114-131,pp176-193,pp352-375,pp444-453,pp494-531 2014
2)「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 第8条第2項、第12条」必携学校小六法 協同出版 p105-106 2011
3)公益財団法人日本学校保健会「保健室利用状況に関する調査報告書(平成23年度調査結果)」p3 2013
http://www.gakkohoken.jp/books/archives/150
40歳代/静岡/養護教諭