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2018/07/04 21:55
【SLIPERより】
今年3月に足立区立の中学校で行われた性教育の授業が都議会で取り上げられたことは記憶に新しいと思います。指導要領に記載がない妊娠の経過と避妊を扱ったことが問題視されました。
性教育は以前からこうした「寝た子を起こすな」的な議論が繰り返されてきました。しかし、現場にいると相談の中にもあるような「寝ている子などいない」実態を日々目の前にすることになります。『早く正しい教育を!』と焦らずにはいられないお気持ち、とてもよくわかります。
性に関する知識や行動には個人差が大きいことが、議論を生む原因の一つでしょう。このように緊急性の高い状況では、リスクの高い生徒を集めて指導を行う方法も有効かもしれませんが、今はリスクの高い子供が見えにくくなっている時代です。全ての子どもが義務教育のうちに得ておくべき知識を学習できるよう、系統的に進める必要があります。しかし、これまで実施されていなかった性教育を実施するためには、準備が必要です。いくつかポイントをあげてみます。
・これまでの性に関する指導や保健学習の実施状況を把握する
→性に関する指導がどのように行われ、生徒がどの程度理解しているかを把握する。
・教員や保護者は、子どもの現状をどう理解しているのか
→養護教諭として把握した事例をもとに、性に関する問題の現状と教育の必要性を訴えかける。
・教えるべき内容を検討する
→学習指導要領にない内容でも、現実的な課題を解決するためであれば、学級活動の保健指導として取り上げることが可能である。しかし、いきなり避妊や性感染症を取り上げるのは、教員や保護者の反感を買うことになりかねません。、男女交際や自分を大切にすることのようなコミュニケーションに関する教育から始め、子どもや保護者、教員の反応を見つつ進める。これまでに性に関する問題行動があった生徒や虐待経験のある生徒などにも配慮し、内容をよく吟味する。
・教員や保護者の理解を得る
→学校内のみでなく保護者の理解も大切となる。保健だよりなどで教育の内容や意図を丁寧に伝え、家庭内でも話題にしてもらうきっかけづくりをする。
・教育の方法を検討する
→先ずは、ハイリスクの子どもへの相談体制の整備などの個別指導を充実させる。それと同時に、交際マナーや自分を大切にすることなど、今できる性に関する指導を全体にも実施できるよう進めていく。個別と集団、両方への指導体制を考慮することが大事。
個別に子供が学ぶことができるよう、信頼できる情報源(書籍やインターネットのサイト)を占めることも役に立つ。
集団指導については、保健行政で取り組んでいる思春期教室などの枠組みを利用することもできる。その際には、他校での実績のある外部講師などにお願いする方法もとることできる。しかし、その場合は十分に打ち合わせを行い、学校の実態や課題を伝え、目的を共有しておくことが必要。
・教育が定着するような体制づくり
→1回の授業で終わらせない工夫が必要。その後も学校全体で支援をつないでいけるよう、定期的に学級で性について話し合う機会を持ったり、保健室でミニ講座や相談活動を行ったりなどの取り組みを学校全体で進める。
「子どもの心と体を守るために必要な指導をしたい!」という思いは素晴らしいと思います。大切な問題だからこそ、正しい知識がしっかり子供たちの力となって身につくよう、時間をかけて準備をし、確実な取り組みにつながっていくといいですね。
40歳代/静岡/養護教諭
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2018/07/01 11:23
25年前、私は高校の養護教諭に赴任しました。ちょうど、同じような相談が多かったことを思い出します。当時の高校生性交体験率は30〜40%。さらに、妊娠、中絶の数字にも仰天させられました。また、エイズという新性感染症が世界中を震撼させた時でもあり、性教育の必要性が急速に高まっていました。
「校長!寝た子を起こすなどと言っている場合ではありません」と説得し、保健体育の1時間を特別授業として全校クラスを回って実施しました。講師は養護教諭の私。内容は「セックス、妊娠、性感染症、男女の性欲性感」と、性交に直面する場合の誰もが知りたい、知っておきたい具体的な話のみ。赴任中、年1回実施していたので生徒たちから「今年はいつ授業に来てくれるの?」と催促されたこともありました。
中学3年生への指導もこの内容そのまま通用するのではないかと考えます。指導の形は授業、講演など何でも良いと思います。講師もその道に精通する方ならどなたでも。
性教育に関する研究会は多数あり、研究調査も時系列で見聞できます。いろいろ勉強してみてください。一つお勧めのサイトです。
http://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_201603.pdf
60歳代以上/海外/元養護教諭
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2018/06/29 13:49
中学校で養護教諭をしています。私の中学校でも、同じような事例があります。保健学習で学ぶだけでは今の子どもたちのニーズに合わず、個別指導の重要性を感じています。
「学習指導要領にのっとって、それ以外は指導してはいけない」と校長会での決まりもあり、窮屈な思いをしています。
そこで私は、毎年産婦人科医をお呼びして「性感染症」の講演をいただいています。3年生のみを対象にしていますが、卒業前に知っておいてほしいこととして行っています。保護者にも通知をし、保護者の参加も募っています。学習指導要領にないから指導できないではなく、外部講師を招いて行うことも一つの解決方法だと思います。より良いものにするために、事前に外部講師との打ち合わせも大切です。子どもの知りたいニーズをつかんで、自分のこととして聞いてもらえるような講演会となっています。
40歳代/群馬/養護教諭