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2020/12/07 13:22
【SLIPERより】
HSP(Highly Sensitive Person)というのは、1996年にアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が発表した概念で、「人一倍敏感な人」のことをいいます1)。HSC(Highly Sensitive Child)は、その子ども版です1)。日本では、2019年8月にNHK2)で放送されたことや、書籍3)-8)などから広く知られるようになりました。
アーロン博士は「子ども全体の15〜20%(ほぼ5人に1人)がHSCであることが分かっている3)」と述べています。また、「HSPは生まれつきよく気がつき、深く考えてから行動をするため、大人も子どもも共感力があり、聡明で直感が鋭く、創造性豊かで、思慮深く慎重な傾向がある。その一方で、大きな音や大量の情報にはすぐに圧倒されてしまうため、刺激を避け、刺激を避けきらなかった時は過敏で動揺しやすい3)」とも言われています。つまり、HSPやHSCは生まれ持った神経の性質(気質)であり、生まれた後から作られる性格ではないということです。また、「HSCは医学概念ではなく、心理学的な概念のため、医師は知らないことが多く、診断するということができません。そこで重要になってくるのが、HSCについてよく理解している心理士の存在です。誰に相談してよいかわからないという保護者のかたは、まずは専門の心理士に相談してみるのも一案です。1)」と児童精神科医の長沼氏は述べています。
アーロン博士はHSCの特徴を次のように挙げています。@細かいことに気づく、A刺激を受けやすい、B強い感情に揺さぶられる、C他人の気持ちにとても敏感、D石橋をたたき過ぎる、Eよくも悪くも注目されやすい3)。長沼氏は「これらの特徴を周囲が理解して接することが大切だ1)2)」と述べています。長沼氏は「不登校やうつの子どもの中には、極度の敏感さを抱えている子どもも多い1)」と言い、「いろんなものを感じとってしまうので、その刺激が自律神経を乱して、睡眠障害や倦怠感を引き起こすこともある1)」と分析しています。敏感さの現れ方は環境によって大きく影響されるため、「HSCの子がいかに自己肯定感を育みながら成長するかは、保護者や先生方の関わりや静かで穏やかな環境によるところが大きい1)」ということから、女子生徒が過ごしやすい環境を整えることからはじめてみてはいかがでしょうか?
1) 長沼睦雄「ひといちばい敏感でとても共感性の高い子どもをあらわすHSCとは? 感覚が敏感すぎる子のサポートはどうする?」ベネッセ教育情報サイト
https://benesse.jp/kosodate/202001/20200114-1.html
2) NHKバリバラ「敏感くんのゆううつ〜HSCの子どもたち〜」2019/8/29
http://www6.nhk.or.jp/baribara/lineup/single.html?i=1152
3) エレイン・N・アーロン「ひといちばい敏感な子」1万年堂出版 2015
4) イルセ・サン「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」Discover 2016
5) 苑田純子「人間関係の悩み、原因不明の体調不良…敏感すぎて困っている自分の対処法」きこ書房 2015
6) 長沼睦雄「敏感すぎる自分を好きになれる本」青春出版社 2016
7) 長沼睦雄「敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本」永岡書店 2017
8) 武田友紀「気がつきすぎて疲れるが驚くほどなくなる繊細さん
40歳代/静岡/養護教諭
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2020/12/05 14:26
私は現場を離れてから何年にもなりますので、HSPについては初めて知りました。あなたもつい先日知ったということですので、一緒に考える良い機会になればと思っています。
相談の内容から、あなたはこの女子生徒に対して適切に対応していると思われます。この症状を不定愁訴であると認識し、その原因になる何かをも掴んでいるかもしれません。さらにHSPを知ることになり、もっと適切な支援ができるかもしれないと考えているのだと思います。
私の個人的な考えですが、生まれつき敏感な感覚や感受性を持っているということは、頭もよくて優秀な場合が多い。しかし本人は「自分はだめだ」と思っていることが多いと聞きます。HSPは病気ではなく、気質・性格なのだから、それを本人がよく理解し、それを生かした方向に持っていくように支援したい。その特性、個性を殺さない、しかし過保護にはしない。そうして、本人が少しずつでも自信がつくようになればと思います。
60歳代以上/海外/元養護教諭
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2020/11/13 10:44
頻回に来室する生徒について、そのまま見守っていればよいのか、何か働きかけた方がよいのか考えてしまいますよね。私自身は、養護教諭になって20年ですが、「HSP/HSC」という言葉を最近知りました。その特徴を読むと、あの子も、あの人もそうかもしれないと思い当たります。
では、どのように接したらよいのかというと、いろいろな対応があると思います。
「HSP/HSC」の特徴を理解して、個別に対応する必要があると思います。保健室でできることは、本人に共感を示し、一緒に、過ごしやすい方法を見つけることではないでしょうか。また、クラスで少しでも過ごしやすくなるよう、教職員に、「HSP/HSC」の特徴を理解してもらうことが先決だと思います。
40歳代/静岡/養護教諭