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関長の妻君を診察す それは兵士の悪口でありましょうけれども、せっかく出て来たものですから望みに応じて診て遣りまして病症の説明をして注意を加え、少しばかりの薬を遣りましたところが、私の説明が長く煩って居る容体に適中したと見えて、なるほどセラのアムチーは豪いものだと感じたか大いに悦び「何かお礼をしたいが欲しいと思う物がないか」という。何も欲しい物がないといいますと自分が家に帰って直に包物を持って来ました。 どれだけ入って居ったか知りませんが私は其包を押返して「私は明日急ぐ用事があってニャートンの方へ行かなければならぬので、ニャートンの関所で書付を貰ってこちらの関所に旅行券を貰いに来なければならぬ。自分も引返して来たいとは思うけれどもあるいは使だけよこすかも知れぬ。その時分に長官が手間取るに違いなかろうけれども、直に渡してくれるように取計らって下さる訳には行くまいか」と頼みますと「そんな事は訳はない。家の人は堅い人で部下の兵士が行く場合でも十一時から十一時半までの間でなければ旅行券を渡さぬけれどもそれは私が確かに引受けます」という。
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