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「それだけがお頼みで今度また帰って来る時にお目に掛りましょう。此包は全く要らぬから」といって無理に押戻してしまった。その婦人は悦んで帰られた。明日あちらの方さえうまく行けばこちらの手続きは出来た心算であるけれども、なお気遣われるから私の泊って居る家の兵士の女房に聞きますと「そりゃもうきっとうまく行くに違いない。あの人は家の人に対しては無限の権力を持って居ますから」という。日本でいう嚊大明神の家庭であったらしく見える。 その翌六月十四日午前三時雨を冒して二里余り行きますとトモ・リンチェンガンに着きました。まだ夜が明けませんでどこもかしこも戸が締って居るからちょっと休む家もないです。幸いに雨も少し歇んで来たものですからある家の軒下に佇んで居りますとやがて戸をあけました。そこで関所はどこかと聞きますとこの村外れであるという。関所といっても別に門はない。ただ見張をして居る家があるだけです。そこに着くと今起きたというところ。
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