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怪少年の明察 判事とガニマールとは驚いて眼を見合わせた。 「とにかく伯爵に聞いてみよう。」と判事はいった。伯爵は呼ばれた。そしてついにボートルレは勝った。伯爵はしばらく困ったような顔をしていたが、やがて口を開いた。 「実は判事さん、この名画は四枚とも偽物です。」 「では、なぜさようおっしゃらなかったのです。」 「私は穏な方法でその絵をとり戻そうと思ったからです。」 「それはどんな方法ですか?」 伯爵は答えなかった。ボートルレは代って答えた。 「この頃、大きい新聞に『名画買い戻す』という広告が出ています。あれがそうです。」 伯爵は首肯いた。またしても少年は勝った。判事はますます感心してしまった。 「君は実に偉いですね。どうぞ先を話して下さい。君は犯人の名前も知っているといわれたはずですね。」 「そうです。」 「誰があのドバルを殺したのでしょう。その男はどこに隠れているのでしょう。」 「実はそのことについては、一つの間違いがあります。ドバルを殺した男と、逃げた男とは別の人間です。」 「何ですって?」判事が叫んだ。「伯爵や二人の令嬢が客間で見た男、そしてレイモンド嬢が銃で撃って、邸園の中で倒れ、我々が今探している男、それと、ドバルを殺した男とは別の人間だというのですか。」 「そうです。」
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