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が、こう周囲の者から妨げられると、実之助の敵に対する怒りはいつの間にか蘇っていた。彼は武士の意地として、手をこまねいて立ち去るべきではなかった。 「たとい沙門の身なりとも、主殺しの大罪は免れぬぞ。親の敵を討つ者を妨げいたす者は、一人も容赦はない」と、実之助は一刀の鞘を払った。実之助を囲う群衆も、皆ことごとく身構えた。すると、その時、市九郎はしわがれた声を張り上げた。 「皆の衆、お控えなされい。了海、討たるべき覚え十分ござる。この洞門を穿つことも、ただその罪滅ぼしのためじゃ。今かかる孝子のお手にかかり、半死の身を終ること、了海が一期の願いじゃ。皆の衆妨げ無用じゃ」
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