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何等の区劃もなく無限に続いて居る時と道とを、おかんは必死に懸命に辿り続けるだけであったが、どんなに道が長く続いても、勇ましく進むことが出来た。周囲は暗かった、背後を顧みると累々とした闇が重って行く。が、前途だけには、ほの/″\とした光があった。どんなに、此道が長く続いても、何時かは極楽へ行けるのだ。有難い御説教で、幾度も聞かされた通りお浄土へ行けるのだ。配偶の宗兵衛にも十年振に、顔を合わせることが、出来るのだ。そう思うと、おかんは新しい力を感じて来て老の足に力を入れて、懸命に歩き続けるのだった。闇とも雲とも土とも分らない道の上で何日経ったか判らない、いや日を数えるのでなく月を数えても、幾月経ったかも判らない、いやもう一二年も経って居るのかも知れない。歩きながら、そんな事を考えたほどおかんは歩き続けた。長い/\道だった。が、おかんは勇気を失わなかった。こう、根よく歩いて居る中に、何時か極楽へ着くのに違いない。そうした望みだけは、決して失わなかった。
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