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気が付くと自分の立って居る所から、一町ばかり向うに、お西様の勅使門を十倍にもしたような大きさの御門が立って居た。おかんは、その門が屹度極楽の入口だと思ったので、急いで門の方へ行って見た。門の方へ行って見ると、門の扉は八文字に開かれて居た。おかんはオズ/\とその大きく開かれた御門の中に入った。御門の中の有様は、有難い御経の言葉と寸分違って居なかった。直ぐ眼前に広がって居るのは、七宝池の一つに違なかった。水晶を溶かしたような八功徳水が、岸を浸して湛えて居る。しかも、美しい水の底には、一面に金砂が敷かれて、降りそゝぐ空の光を照り返して居る。水を切って、車輪のように大きい真紅や雪白の蓮華が、矗々と生えて居る。水に※んでは、金銀瑠璃玻璃の楼閣が、蜿蜒として連って居る。楼閣をめぐっては、珊瑚瑪瑙などの宝樹が、七重に並んで居る。宝樹の枝から枝へと飛び交うて居る、色々様々な諸鳥は、白鵠、孔雀、舎利、伽陵頻迦、共命などの鳥であろうと思った。おかんは極楽を一目見ると、嬉しさに涙が止め度なく流れて来た。極楽に往生し得た身の果報が、嬉しくて堪らなかった。御門跡様を初めお寺様のお言葉の真実が、身にヒシヒシと感ぜられた。よくも、弥陀如来の本願を頼み奉ったものだと思った。
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