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「そうとも。うむ、そうだろうな。でも、もうそのことは忘れる方がいいよ。私の膝のそばに来て坐っておくれ。そして、嬢やはプリンセスだということだけ考えている方がいい。」 「そうね。」と、セエラはほほえみました。「私、人の子達に、パンや、甘パンを恵んでやることが出来るのですものね。」 次の朝、ミンチン女史が窓の外を見ていますと、女史にとっては、実に見るにたえないようなことが眼に映りました。印度紳士の家の前に馬車が着いて、毛皮にくるまれた紳士と少女が、玄関を降りて来るのでした。その見なれた少女の姿を目にすると、ミンチン女史は過ぎ去った日のことを思い起しました。すると、そこへもう一人、見なれた少女の姿が現れました。その姿を見ると女史はひどくいらだって来ました。いうまでもなくそれはベッキイでした。ベッキイはすっかり小間使になりすまして、いそいそ若い御主人に従い、膝掛や手提を持って、馬車の処まで見送りに出て来たのでした。いつの間にかベッキイは血色もよく、むっちりと肥っていました。
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