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「だって、確かめようがありますわ。処女であるお姉様に対して、誰と怪しいとか怪しくないとかそんな確かめようなんて、ないと思うわ。そんなことを、おっしゃるのは、かえって貴方の人格を傷つけることになるんだわ。」 と美和子は、もう姉のために弁ずるよりも、いかにもけんだかな増上慢を、歴々と顔に出している夫人に、突っかかって行く興奮に自ら酔うているように、止めどもなく、喰ってかかって行く。 子供らしい彼女の受口の舌の中には、少しは的はずれでも、とにかく相手のどこかを突き刺す毒の針が、無数に含まれている。 新子は、眼を伏せたっきり、問答は全く、夫人と美和子に移って、彼女は圏外に出された形である。 夫人は、今まで、わがまま一杯に育ち、人を権柄ずくにやっつけることには、巧みでも、一度相手から逆撃されてみるとたちまち勝手が違い、カッとのぼせ上って来、気の遠くなるほど、美和子が憎らしくなりながら、口の方はかえって辛辣さを無くしていた。 「私は、別に埃のないところを叩いてやしません。それが証拠に、新子さんは恐れ入ってるじゃありませんか。」 美和子を避けて、弱い姉を衝こうとした。
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