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信長は気象の荒々しい性急な乱世的英雄で、彼の活躍は実に目覚しかつた。秀吉は戦国的英雄であると同時に、実に平和を愛する英雄であつた。戦国百年の焦土の上に、絢爛たる桃山時代を出現させたのは彼である*。家康は信長のやうな目覚しさはないし、秀吉のやうな華やかさもないが、実に緻密で組織的で建設的で、近代的な英雄である。この三人の性格を比べると、秀吉と家康は、信長に比し、滅多に人を殺してゐない。政略以外には、人を殺してゐない。秀次の妻妾を殺したことは、秀吉の晩年の過失である。秀頼母子を殺したのは、家康として政略上止むを得なかつたのである。それ以外は秀吉も家康も、人を殺すことを嗜んでゐないのである。 結局、英雄といふものは、時代が生むのだ。世の中が真に必要に逼られてゐる大事業を遂行する人物が英雄なのである。信長も秀吉も家康も、それ/″\、大きな社会的需要に応じて現れて、独自の役割を果した人物で、真に英雄である。
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