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声がすこし高すぎたやうである。彼は自分でもそれに気がつき、そのあとのしばらくの沈黙によつてそれを補はうとした。 と、その時、扉が不意に開いて、黒岩万五が薪を一と抱へ抱へてはひつて来た。 幾島暁太郎は、機械的にかたはらの椅子に腰をおろした。 薪をくべ終ると、黒岩万五は、そこにゐる二人を見比べながら、 「明日は大雪になるらしいが、自動車がうまく通るかどうだかね。夜つぴて積つたとなると、ちよつくら、へえ、人夫の二人や三人で掻えたぐれえぢや追つつくめえ」 「自動車が通らないとなると、どうするんでせう?」 素子は、雪に埋まつたあの長い山腹の道を頭に描いて、ぞつと身慄ひをした。
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