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院長 これですか。これはね、うちの悪戯小僧が、先きへ縫針をつけた吹矢でもつてね、うまくねらひ撃ちをしたらしんですよ。 海老子 まあ、お危い……。 院長 いやはや、油断がなりませんよ。 海老子 それで、そのお子さんは、どうなさいました。 院長 どうもしません。相変らず吹矢を吹いて遊んでゐます。その代り、紙の的をこさへてやりました。 海老子 (感動して)麦ちやん伺つたかい。では、先程のお話でございますが、この前申し上げましたことを、また繰り返すやうになりましても、なんでございますから……。 繭子 母さん、それに、麦ちやんの前ぢや、やつぱり可哀さうだわ。 院長 いや、なに、別に細かいことは伺はなくつてもよろしい。大体承知をしてゐます。それでなんですか、今迄、御両親の手元から離れてをられたことはないのですな。 海老子 ございません。 院長 ない……。学校は何度失策じりましたか。 海老子 小学校で一度、中学で二度……。 麦太郎 三度だい。
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