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ちよつと突然な例ですが、満洲の少年義勇軍の代表的な少年たちが二千六百年記念式典に上京した時、その人達と会つた席上で、或るお役所の高官が非常に親しみ深い調子で、君たちは今何が一番不満かといふ質問をしたのです。さうすると、真赤な頬をした健康さうな少年がモジモジしながら答へた返事が――この服をなんとかして下さい、これぢや満人の中を歩けんです。かういふ調子でした。さうするとその役人が非常に意外な、心外だといふやうな顔つきをしたので、それから私が口出しをして、その少年の云ひたいことはもつとよい着物を着たいといふことだけぢやない。何かもつとそこに要求がある。それを酌み取つてやつて戴きたいと云つたのですが、その少年たちはヒツトラー・ユーゲントがあゝいふ恰好をして日本に来たことも知つてゐますし、東亜の指導者であるといふ矜りももちたいでせうし、少年としてそこに一つの生活への憧れもあるだらうし、さういふものが「この服を」といふ単純な表現をとつたに過ぎないと見られるのです。
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