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文学座三月公演はゴーリキイの「どん底」ときまり、私が演出を引受けた。 神西清氏の翻訳ができあがるのを待って、稽古にはいる。毎日小田原から出て来るのは、病後の私には大儀だから、稽古場の隣に宿をとってもらう。 配役には思い切って新人を起用したので、どんな結果になるか、半分楽しみで、半分心配なのは致し方がない。 この「芝居」は既に日本でも、度々上演されている。古い所は別として、築地小劇場以来、二、三の演出家が、それぞれの流儀で、一応「どん底」の日本版を作ってみせた。私も、そのうちの一つを見ているが、なんとしても、三十年前に、パリで観たモスクワ芸術座の「どん底」が眼の前にちらついて離れない。
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