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進んだ、といふのは、進歩の意味よりも、むしろ進化の意味であることはもちろんである。フランスで云へば、私はパニヨオル、ジロドウウぐらゐまでしか読んでゐないし、日本の新作家では、さあ、誰といつたらいゝか、まづ戦争直前ぐらゐまでに目立つた作品を公にした人々を最後として、それ以後の新人の名はほとんど知らないといつてよかつたのである。 蔵書を焼いてしまひ、そのうへ田舎住ひをしてゐるので、新知識の獲得には甚だ不便であるが、あれこれと手に入る材料を漁つてみて、やつと、大戦後におけるアメリカやフランスの演劇界消息をおぼろげに知ることができた。菅原卓、川口一郎、加藤道夫三君のアメリカ劇紹介、佐藤朔、鈴木力衛両君編輯の「現代フランス演劇」第一、第二輯は、ともに大きな参考になつた。 が、それはそれとして、私は、一方、最近の雑誌を注意しながら、日本の劇作家がどういふ道を歩いてゐるかを、極めておほざつぱにではあるが、推測することができたのは大へんうれしかつた。なぜなら、これでわが劇文学の進路が、今日までのところ、非常にはつきりしたといへるからである。
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