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一寿 お前たちに「お母さん」と呼ばせるかどうか、そこまではなんとも云へない。お前たちの意見もあることだらう。ただ、かういふことは、内証にしておくべきでないと、今ふと考へついたんだ。お前たち二人は、なんにも心配しないで、伸び伸びと、自分の生活を築いて行きなさい。この女も、半生は不仕合せだつた。わしも弱かつた。これも縁だらう。黙つて見逃しておくれ……。 らくと悦子とは、云ひ合はしたやうに顔を伏せる。愛子は、ひとり、昂然と、父の方を見据ゑてゐる。 父親退場。 悦子 ぢや、ちよつと、あたしたち出て来ますわ。 娘達退場 らく、室を出ようとする。 娘桃枝、そつと現はれ母親の顔を見る。
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