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奈緒子 ぢや、あたしから、云ふわ。あたし、あの方、好きなの。笑つちやいやよ。それで、若し、あの方が、あなたよりあたしの方を好きになつたら、もうそれつきりでせう。 由美子 それつきりだわ。 奈緒子 それつきりだなんて、あなた、それで、どうもない? 由美子 だつて、しかたがないぢやないの。 奈緒子 いゝえ、しかたがあるとか、ないとかぢやないの。あたし、ほんとのことを云へば、あの方が若し、あなたの方に行つてしまつたら、一寸、がつかりだわ。 由美子 いやな方……。 奈緒子 あなたも、ほんとのことを云へば、それを望んでらつしやるんでせう。 由美子 望んでるなんて……そんな……。 奈緒子 いゝえ、いゝのよ、ほんとのことを云つて頂戴、面倒臭いから……。それでね、あなたがさうだつていふことはわかつてるんだから、今のうちに、二人で妥協しとかうと思ふの。さうでせう、お互に、勝つたり負けたりするのは、いやぢやないの。 由美子 あたし、どうでもいゝわ。
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