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こゝで断つておきたいことは、俗に奇人、変人などと称せられる一種独特な性格、趣味の持主は、これは必ずしも「畸形」の部類にはいらないことである。常識人の眼からすればその言動はおよそ軌道をはづれた、突拍子もないもののやうに見られるけれども、それは時として、ある種の「哲学者」であり、「自然児」であり、「革命家」でさへもあり、凡俗の風習に対して戦ひを挑む孤独な勇者である場合もすくなくなく、かの、天才に往々みられる放心、偏執、矯激の傾向が、かへつてその精神の平衡を保つアクセントのやうなものである場合と同様、「畸形」の概念にはあてはまらない。若しそこに「病的」なものが認められるとしても、前に挙げた「ヒステリイ」を除いては、それは、あくまでも、精神機能の局部的昂進または衰弱を語るにすぎず、その程度により、性格破綻、または変質として精神病の系列にはいるだけである。つまり「エクサントリック」といふことは、それだけでは「畸形」に属するとは限らないのであつて、その本質に於て常に病理学的な症状の区別ができるやうに思ふ。この点をはつきりさせておかなければ、私のこの説は、たゞ表現の誇張にすぎぬものとみなされるおそれがある。
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