コピー
最初に、次の三人の人物を例にあげて、それぞれの人物が日本人の「畸形ぶり」を発揮する一場面を紹介し、それが決して当代に於て例外とは云へない所以を述べることにする。 甲は総理大臣である。ある日、官立某大学の講堂で全校の学生に訓示だか講演だかをすることになつた。それは型の如き内容のものであつたが、そのなかで、戦時の要求から学年短縮をしなければならぬことに言及し、「これは学生諸君には誠に気の毒であるが、しかし決して失望することはない。かく申す自分も、かつて日露戦役当時、学業半ばにして戦場に向ひ、しかも、今日、諸君の面前に、このとほり、一国の総理! として立つてゐるではないか」と見得を切つた。満堂の――ではなかつたかもしれぬが、心あるものの顰蹙を買つたことは想像に難くない。(その演説の要旨は当時の新聞に載つてゐる)
TOPに戻る
-
iboard BASIC
-