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「交通道徳」とか、「親切週間」とか、「貯金報国」とかその他なになに、すべて国民の「道徳」に愬へようとすることのみに汲々としてゐる有様であるが、国民の方では、またかといふ顔をしていつかう相手にしない。たしかに、国民は、いはゆる「道徳」といふものが到るところに立ち塞がり、眼にちらつきすぎて、それをよけて歩かねば自分の道がはかどらぬやうな気にもなつてゐる。 要するに、それは実体ではないにしても、ともかく「道徳」といふ観念の巨大な影がわれわれの生活におほひかぶさつてゐることはたしかで、今や日本人の生活には、その「道徳の幻」を追ひ払はうと必死にもがいてゐるといふ一面がなくはない。
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