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烏帽子の男を太夫と呼ぶんでしたかね。大黒帽はたしか才蔵と云ふんです。 太夫は歌の拍子を取るやうに、時々才蔵の頭を扇子で叩く。叩かれた才蔵は、お道化た顔をしてなほも唱ひ続けます。あれではさぞ痛からうと思ふほど音がすることがある。才蔵は変な格好をして太夫を見上げる。それでもにやにや笑つてゐます。 僕は、批評するものと、批評されるものとの立場が、この三河万歳の如くであることを痛感して、いさゝか暗い気持ちになるのです。 擲る方もいゝ気なら、擲られる方も心得たもの、そこはどちらも商売で、その場限りの愛嬌といふことになるのでせう。
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