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「あたしは、たいがい見当がついてたわ。南条さんには黙つてたけど、兄さんの近頃の様子で、結局こうなるんだろうつて、多津姉さんとも話してたのよ」 と、真喜が、得意らしく、告白した。 「それで、たゞそいつをたしかめるために、来てみたのか?」 「あら、そんなつもりじやないわ。あたしは、ちよつと相談があつて来たの。南条さん、こつちの話からかたづけていゝ?」 真喜は、なかなか事務的だつた。 「さあ、さあ、どうぞ……。僕は、しばらくどつかへ行つてようか?」 「その方がいゝわ。呼んだら聞えるところにいらつしやい」 南条己未男は、声をたてゝ笑つた。京野等志もにやりとした。 兄と二人きりになると、真喜は、歩をゆるめながら、話しだした。 「あたし、とても今、生き甲斐を感じてるの。お店の仕事はまあ、なんていうことはないけど、自分で働いて、自分で勝手なことができるの、とてもうれしいわ。でも、そうなつてみると、こんどは、やつぱり家のことを考えちやうの。第一に母さんが気の毒でしようがないの。あんなかわいそうなひとつてないわ」 「たずねてみたかい?」
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