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京野等志は、この真喜という妹のどこかに、なるほど一家の誰よりも強く明るい性格がのぞいているのを感じ、これはこれでいゝのだと思つた。南条己未男との間柄も、別に詳しく詮議だてをしようとは思わなかつた。たゞ、戯談めかして言つた南条のいつかの述懐が、戯談どころか、それが真意であつたことを、やはり、南条らしいと思つた。後は、実際に、真喜の居所をどうしてつきとめたか? そして、どういう出方で、いわゆる友達づきあいをしはじめたか? それもこれも、彼にとつては、どうでもいゝことである。 ホテルの門前に辿りついた時、真喜は、大声で、「南条さん……早くいらつしやあい」と叫んだ。南条己未男は、二、三十歩後から、ちやんとついて来ていた。 「もう話はすんだの?」 と、彼は真喜の方に問いかけた。 「えゝ、すんだわ。こんどは、あなたの番、あたし、あつちへ行つてましようか?」 「僕は、君に、なんにも秘密はないんだ。そこにいたまえ。ねえ、京野君、どう思う、君は? 真喜ちやんは、僕のお神さんになれば幸福だろう?」 と、南条己未男は、ずばりと言つた。
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