コピー
兵士が千切れた部分を示して訴えるので、将校は反対側へ回った。 将校が、旅人に顔を向けたまま言った。 「この機械は、とても複雑な仕組みになっていまして、こうやってあちこちが千切れたりとか、壊れたりすることがあるのです。だからといって、それだけで早合点しないでくださいね。革ひもなら、すぐに付け替えができます。とりあえずは鎖で間に合わせましょう。もっとも、微妙な振動がこの右腕のために損なわれる可能性がありますが。――」 鎖をあてがいながら、話を続ける。 「――現在、機械の維持費がたいへん少なくなっているのです。先の司令官の時には、ただその目的のためだけに潤沢な資金が用意されていて、存分に使えました。ここには倉庫がありまして、そろえられるだけの部品が保管されています。白状しますと、かなり使い込んでしまったことがありまして、今となってはもう昔のことで、それを新しい司令官はまさに今もやっているように吹聴するんです。そんなものは、ただこの昔からあるメカニズムを攻撃するための口実に過ぎません。今、あいつは機械のための資金を自分で管理しておりまして、私が新品の革ひもがほしいと申請すると、千切れたものを証拠品として要求してきまして、さらに新しいものが来るまでに十日もかかるという有様なのです。しかもそれが粗悪な製品ときていて、あんまり役に立たないのです。それに新しいのが来るのを待っている間は、革ひもなしで機械を動かさなくてはならないのです。でも、そんなこと誰も気にかけてくれません。」
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