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キッと見あげる北原ミユキの視線を、康子は、まともに受けながら、やさしく、 「ミユキさん、あたしたちは女同士よ。細かい気持をお互に読みあいましようね。それであなたが、おいでになつた意味がよくわかつたわ。市ノ瀬さんの一方的のそういうお気持は、そりや、あたしにもわかつてゝよ。わからないはずないわ。わかつていればこそ、あたしには、決心がついたのよ。市ノ瀬さんがどういうおつもりで、そんなことを自分から告白しなすつたのか、そこのところは、あたしには想像がつかないけれど、考えようによつては、あなたの心の負担を軽くしようつていうおつもりかも知れないわ。そうじやない、きつと?」 北原ミユキはしばらく考えていた。やがて、前よりはいくぶん落ちついた口調で、 「それにしても、わたしすこしがつかりしましたの。もつともつと市ノ瀬が純粋な気持でわたしに手を差しだしてくれたものと思つていましたわ。どんなに、わたし、あの人のひろい心にうたれたかしれませんわ。わたしは、あのひとが、なにもかも無条件でゆるしてくれたということ、たゞそれだけの感動で、あのひとの前にひざをついてしまつたんですの。奥さまのことを、そりや、ひとこと申すには申しました。しかし、それは、わたしをなぐさめるために、半分じようだんを言つてるんだと思いましたの。ところが、それは、じようだんではなかつたんです」
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