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なんというおそれを知らぬ娘たちであろう。たとえそれが表面の自由さにしても、好むがまゝを振舞つて悔いないようにみえる彼女らの生活は、いつたい、どんな信念と希望とで支えられているのか? 康子は、薄暗い光のなかで、いま口をきいた相手の風ていを見直した。いくぶんはすさんだところもみえなくはない。しかし、娘らしい心づかいが田舎じみた衣しようのはし/″\にもみえてあらい手織りじまのモンペがよく似合うのも、ほゝえましかつた。 「樺太はそんなにいゝところ?」 と、康子が、こんどは口を切つた。 「ふん、ほかを知らずにそう思うのかも知れないけど、内地へ帰つてみて、あんまり居心地がよくないもんで……」 「今はことにね。北海道はよくご存じ?」 「わたしはあんまり知らないの。このひとがよく知つてるわ」 といつて、隣りをゆり起そうとするので、 「いゝわ、いゝわ、折角やすんでらつしやるんだから……。ワッカナイつていえば、今ごろは雪が積つてるでしようね」 「そりやそうよ。もうこれからは、四月まで雪の中だわ。それに、十一月のガスと来たら……うゝむ、息がつまりそうだ」 表情たつぷりに、霧につゝまれてむせかえる声をだしてみせる。 隣りがこの時、ちよつとからだを動かしたので、すかさず、 「おい、起きなよ。この奥さんが北海道の話聞きたがつてるからさ」
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