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それに誰も、こんな旅人が、自分の利益のために言った、と誤解する人もいないだろう。囚人は赤の他人だし、同国人でもないし、同情を抱いているからでもない。 自分は高官たちの書いた紹介状を持っているし、たいへん手厚く迎えられた。その結果、この処刑に招待もされたわけで、それどころか、この裁判に対して何か意見を求めているように思えるふしさえある。 ありそうなことだと思う。 あの司令官が、周知の通り、この裁判制度には不支持であり、この将校に対して敵対心に近いものを抱いているというのは、本当かもしれない。 そのとき旅人は、将校の怒号を聞いた。 やっとのことで、囚人の口の中にフェルトの栓を押し込んだのに、囚人はこみ上げる吐き気に我慢できなくなって、目を閉じたまま、栓から外したのだった。 将校があわてて囚人の頭を持ち上げると、頭を穴に向けようとした。 が、手遅れだった。 吐瀉物が機械のわきから、地面の方に流れてきた。 「これもみんな、あの司令官のせいだ!」
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