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これに対して古事類苑の案には、貞丈の説妥当ならずとし、古記の記事によれば、「其の地に予め一大穴を鑿ち、火葬の後に其骨を墓に収めずして、之を粉砕し、親疎を択ばず皆此に蔵するを謂ふか」と解している。なるほど貞丈の説は妥当ではない。既に令の古記の註釈があってみれば、その本文が大宝の原文なることは疑いを容れぬものであらねばならぬ。何となれば、古記は古令の註釈たる証拠顕然なるものであるから。しからば「養老の令なるが故に火葬の事ある筈なり」の貞丈の弁明は立たぬ。さればとて古事類苑の案もまた落ち付かぬ感がある。大穴に火葬の遺骨を粉砕して合蔵するでは、古記の以骨除散という事には当り難かろう。窪美保昌氏の令新解には、大蔵を以て「共同の墓」と解しているが、それもまた以骨除散という説明には当らぬ。
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