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そこで彼らは、長く「来り人」として区別せられる。特別の学問技芸を有して、手習師匠や、医者の真似事でも出来る様なものは格別、何ら取り得のないものでは、やっと村民の同情に訴えて、村外れの空地などに家を建てさせてもらって、もしくは家を建ててもらって、村人の為に使い歩きや物の取片付けや、火の番や、腕っ節の強いものならば泥棒に対する警固やなどの如き、村人のいやがる職務を引受けて、生活の資を求めて行くに至るのは、けだしやむをえなかったことであろう。かの「行き筋」とか、「掃除筋」とか、「番太筋」とかいう筋のものの中には、かくの如くにして起ったのが少くなかろうと解せられる。かくてその中でも運の悪かったものは、非人扱いにされるに至ったのであろう。
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