コピー
折も折とて、たまたまその月の十七日に、内務省で細民部落改善協議会が開かれますし、二月の二十三日には、築地本願寺において、帝国公道会主催の同情融和会が開かれました。機会を得たりと私は自ら進んで、その双方の会に出席しまして、私の歴史的研究の結果を述べて、単なる部落改善は解放に向かっての唯一の道ではなく、一般世人はさらによく反省するところがあって、故意の、もしくは無意識の圧迫を、解かねばならぬことを力説したのでありました。かくてその内務省における講演筆記を印刷して、同省を経て各府県に頒布してもらい、その後さらにそれをもととして、別にいくつかの歴史的研究を加えまして、「特殊部落研究号」と題する『民族と歴史』特別号を発行しました。ここに始めて、幾分か世間の反響を聞くことができたのであります。
TOPに戻る
-
iboard BASIC
-