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「君もよい加減に部落問題を論ずることをやめてはどうだ。他からよけいな誤解を受けるばかりでなく、君はよい気になって喋舌っていても、ついどんな不用意から、あの恐ろしい糾弾の槍玉にあげられるかもしれないぞ」と。ある人はまたこんなことを言いました。「お前はあまり部落民のヒイキをしすぎる。そんなことをするから彼らがつけ上がって、水平運動のようなものも起るのだ。」と。この「雑誌を売ろうとして」との批評をした人々は、自分の卑しい根性から、他人の真意を忖るもので、もとより論ずるにも足らぬことであり、また「喜田が部落民のヒイキをしすぎる」ということの如きも、確かに観察を誤まったもので、悪くいえばいわゆる部落民をいつまでも愚にしておいて、その地位に満足せしめようと言うのでありまして、今さら問題とすべきではありませんが、「喜田が部落出であろう」とか、「よけいなことはよしたがよかろう」とかいうに至っては、もっとも適切に、世人のいかにこの問題に対して冷淡であるかを語っているものとして、心淋しく、また腹立たしく思わざるをえなかったのであります。実際世人の多くは、直接自分の頭の上に降りかかる火の粉でなければ、なにも他から手を出す必要がないと思っているのです。そしてよけいなことには触らないのが安全だと打算しているのです。そんな有り様で、どうして解放ができましょう。融和の実が挙げられましょう。私はまずもって特にこれらの人々に向かって、部落をよく知ってもらいたいのであります。
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