コピー
あそこに積み重ねられた籐の肘掛け椅子が、当時の名残なんです。機械はぴかぴかに光って、設置されているのですが、ほぼ毎回、処刑のたびに新しい部品を使っていました。大勢の目の前で――見物人みんなつま先立ちしなければならないくらい、谷にひしめいていて―― 囚人が、司令官じきじきに『まぐわ』の下に寝かされます。見張りは、今でこそ一兵卒の役目でありますが、当時は私、今は裁判官の私がやっていた仕事でして、たいへん光栄なことでありました。そしていよいよ、処刑が始まる! 機械の動作を妨げる不協和音はありません。もはや処刑を見ようとはせず、目をつむって砂の上に寝転がる人もいましたよ。誰もが、今まさに正義が行われているのだと、知っておりました。静寂の中、ただ囚人のため息ばかりが聞こえてきます。フェルトの栓でこもった感じになっていましたが、こんにち、あの機械では、息がつまって、のどの奥から絞り出しているような、あの感慨深いため息はもはや出せないでしょうね。
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