コピー
あの頃は、文字を刻む針に腐食液をしたたらせていていました。今ではもう使用が許されてはいません。さて、開始から六時間経ちますと! みんな近くで見たいと言いますが、全員許可するわけにはまいりません。司令官は思慮深いお方でして、とりわけ子どもの願いを聞き入れるべきだとおっしゃりました。私は、職務上いつも最前列に坐ることができました。あるときには、両脇に子どもをかかえながら、しゃがんで見物したこともあります。囚人の苦しみに引きつった顔が、救済され、歓喜に満ちていく様を、大勢の群衆が眺めるのです。ついに遂げられ、そして去っていく正義の光が、我々を煌々と照らす! この一瞬なのだ! 友よ!」 将校は、まったく周りが見えなくなっていた。 旅人を抱きしめて、肩に顔をうずめた。 旅人は困り果てて、何をどうしてよいやら、とりあえず肩のところにいる将校に目を向けた。
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