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「私にはこう思われるんですけど」と、彼らが廊下に近づいたとき、娘は小声でKの耳にささやいた。「この案内係さんのことをよく思っていただくようにすることが、とりわけ、私の責任なんじゃないかしら。信じていただいて結構なんですけれど、私はほんとうのことを言おうと思います。あの人は冷たい人じゃないのよ。病気の訴訟当事者を連れ出すなんて、あの人の役目じゃありませんのに、ごらんのように、あの人はしますのよ。きっと私たちの誰もが冷たくなんかないし、きっとみなよろこんで人を助けたいんですわ。それでも裁判所の役人なものですから、私たちは冷たいし、誰も助けようなどとは思っていない、っていうように見えがちなんです。ほんとうにつらいわ」 「ここでちょっと休みませんか」と、案内係が言ったが、もう廊下に出て、Kがさっき話しかけた被告のちょうど前に来た。Kは、ほとんど自分を恥じていた。さっきはこの男の前にちゃんと立っていたのだが、今は二人がささえねばならず、帽子は案内係がひろげた指の上にのせており、髪形は乱れ、髪毛は汗ばんだ額の上に垂れていた。ところが被告はそんなことには気づかぬ模様で、自分を越えてあらぬ方をながめている案内人の前にうやうやしげに立ち、ただ自分がここにいることを弁解しようとするのだった。
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