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あの晩以後のなりゆきからいうと、シュワルツァーの自分に対する応対のしかたはほんとうはもっともだったといえ、それによってこの男の自分に対する借りは小さくはなっていないのだ。というのは、その場合、あの応対のしかたがおそらくはそれにつづくいっさいのことにとっての方向を決定してしまったのだ、ということは忘れてはならない。シュワルツァーによって、まったくばかばかしいことだが、この村に着いた最初のときからただちに役所の注意が完全に自分の上に注がれるようになってしまったのだ。そのとき彼はまだこの村で完全に不案内で、知る人も逃がれ場所もなく、旅のために疲れきって、まったく途方にくれてあの藁ぶとんの上に寝て、役所のどんな干渉にも身をまかせきりになっていたのだった。たった一晩遅く着いていたら、万事はちがって、おだやかに、半ば人知れずに行われたことだろう。いずれにせよ、だれも自分のことなんか知らず、少しも嫌疑などはもたないで、少なくとも旅の若者として一日ぐらい自分の家に泊めてくれることをためらいはしなかったろう。
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