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そのためにシュワルツァーは夜分眠れぬままにうろつきまわり、つぎにKに自分の悩みの埋め合せをさせたのだ。むろん、別な面からいえば、Kはシュワルツァーのこんなふるまいに多くのものを負うているともいえる。ただそのことによってだけ、Kがひとりではけっしてできず、またけっしてしようとはしなかったと思えること、そして役所の側としてもほとんどみとめなかっただろうと思えること、つまりこんなことが役所においておよそ可能だとしての話だが、彼がはじめからてくだを使わず公然と面と向って役所に立ち向かうということが可能となったのだ。しかし、それは悪い贈物であった。なるほどそのためにKはいろいろないつわりや偽善をしないでもすんだが、それはまた彼をほとんど無防備の状態に陥れ、いずれにもせよ闘いにおいて彼を不利にさせたのだ。
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