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そして、もし彼が自分自身に向って、役所と自分とのあいだの力のちがいは途方もないくらい大きなものなので、自分にできる嘘とか術策とはその段ちがいの力の差異を本質的に自分に有利なように抑えつけておくことはできなかったのだ、といい聞かせなかったならば、彼は役所との闘いについて絶望させられてしまったことだろう。しかし、これはKがみずからなぐさめるための頭のなかだけの考えごとにすぎなかった。それにもかかわらず、シュワルツァーは今でも彼に借りがあるのだ。あのときKに損害を与えたのであれば、おそらく近いうちに彼を助けることだってできるはずだ。Kはこれからも、きわめて小さなことにおいてさえ、つまりいちばんはじめの予備的な条件においても、助力を必要とするだろう。たとえばバルナバスもやはりそういう点では役に立ちそうには思われなかった。
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