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こうしているうちに、三人は酒場へきていた。亭主がひどく怒っているのにもかかわらず、なぜKをここまでつれてきたのかは、まったく明らかでなかった。おそらく亭主は、Kがひどく疲れていて、この家から出ていくことはさしあたりできない、と見てとっていたのだろう。そこに坐るようにとすすめられることも待たずに、Kはすぐ樽の一つに文字どおりくずおれてしまった。その暗がりのなかでは、彼は気持がよかった。その大きな部屋には、今はただ光の弱い電燈一つだけがビールの栓の上で輝いていた。外もやはりまだ深い暗闇で、吹雪のようだった。ここでこんなに暖かくしていられることは、ありがたいと思わなければならないし、追い出されないように用心をしなければならない。亭主とおかみとはなおも彼の前に立っていた。まるで、Kという人間が今でもまだ一種の危険を意味するかのようであり、この男はまったく信用できないのだから、突然起き上がって、また廊下へ侵入していこうとすることもありえぬことではない、というようであった。
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