コピー
その代わりかかる信念を有する人々は、いくら金をもうけ、いくら財産をこしらえても、これを一身一家の奢侈ぜいたくには使わないはずである。思うにかくのごとくにして始めていっさいの社会問題は円満に解決され、また始めて実業と倫理との調和があり、経済と道徳との一致があり、われわれもこれによりてようやく二重生活の矛盾より脱することを得、銖錙の利を争いながらよく天地の化育を賛けつつありとの自信を有しうるに至るのである。よってひそかに思う、百四十年前自己利益是認の教義をもって創設され、一たび倫理学の領域外に脱出せしわが経済学は、今やまさにかくのごとくにして自己犠牲の精神を高調することにより、その全体をささげて再び倫理学の王土内に帰入すべき時なることを。もしそれ利己といい利他というもひっきょうは一のみ。今曲げてしばらく世間の通義に従う。高見の士、請うこれを怪しむことなかれ。 (十二月二十三日)
TOPに戻る
-
iboard BASIC
-