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205.米原
>>204樫田の再教育が終わった後も、彼と若菜の関係は続いていた。
以前に比べて幾分か男女の仲に近付いたものの、根本的な部分は変わっていない。つまり、ペットと飼い主のそれに限りなく近い主従の仲だ。
樫田が再教育クラスに在籍している間の二人は、女子寮の一室で共に過ごしていたが、今はそうではない。
だからと言って、全うな学生のように健全な関係になった訳でもないのは、前述の通りだ。
もとより最も目を付けられやすい頭髪に関する校則を破っている若菜にとって、男子寮に忍び込むぐらいのことは、息をするのに等しいものだった。
彼らの淫らで倒錯的な行為は、もっぱら樫田の私室で行われ続けていたのである。
ある晩秋の晴夜、机に向かっていた樫田の耳に、窓をノックする音が届いた。そんなことをするのは若菜ぐらいのもので、彼は嬉々として窓辺に寄った。
窓の向こう、眩い月明かりの下に若菜が立っている。目が合うと、彼女は微笑んで片手を開けた。
樫田が窓を開くと、若菜は女性らしからぬ動きで部屋に上がり込んだ。
どうやら彼女は遊びに出掛けていたらしく、余所行きの格好をしていた。
ミニスカートから黒いタイツに覆われた脚をすらりと伸ばし、身体の輪郭がくっきりと浮き出るようなセーターを着ている。その上にコートを羽織っているが、それは肩に掛かっている程度で飾り以上の効果はないように思えた。
若菜の脱いだ靴を受け取り、彼女の為に用意した靴置きに乗せながら、樫田は訊ねた。
「外は寒かったんじゃない?」
彼女と出会ったばかりの頃に見せていた、おどおどとした様子は微塵も感じさせない軽やかな口調だ。
「ああ。秋と言っても、ほとんど冬に片足を突っ込んでいるようなもんだからな」
ほら、と言って若菜は、両手で樫田の頬を挟み込む。
頬に触れた彼女の手がとてもひんやりとしているのを認めて、樫田はその手を掴んで頬から離した。
それから若菜の手を温めるようにぎゅっと握り直した。
しばし二人はそのままの体勢で、黙って向かい合っていた。
若菜がふふ、と笑い声を上げた。
どうしたのかと樫田が訊ねると、彼女はこう言った。
「すっかり女子にも慣れたもんだな、と思ってな。昔のお前なら手を繋いだだけで射精するんじゃないかってぐらいだったのに」
「宮久保さんのおかげだよ」
彼女と過ごす内に異性という存在に慣れることが出来た。
共に過ごした時間の長さもその要因であるが、それ以上に手と手の接触などは大したことではないと思えるほどに淫らな行為を重ねてきたのが大きい。
淫らな行為と言っても、一般的なそれとは少し異なっているのは、二人の関係性からして言うまでもない。
樫田が若菜と接する中で得たものは、異性への慣ればかりではない。
愛玩動物としての振る舞い、つまりは甘えることを学んでいた。
少し照れくさそうな表情を浮かべた樫田がこう告げた。
「宮久保さん。……して欲しくなっちゃった」
「ん?」と首を傾げる若菜だが、その表情は彼が何をして欲しいのかを既に察しているようだった。
ますます照れた顔をしながらも、樫田ははっきりと言った。
「エッチなことして可愛がってください」
「全く。おねだり上手になりやがって」
若菜の声音は嬉々としていた。
どちらが女子か分からなくなるような手荒さで樫田を抱き寄せた。
夜の外気がもやのように若菜に纏わり付いているのを、樫田の嗅覚が認めた。
若菜の手が樫田の頬に添えられる。
樫田は眼前の強気な瞳がうっとりと潤んでいく様に見惚れて、吸い寄せられるようにして彼女にキスをした。
先に動いたのは樫田であったが、すぐに主導権は若菜へと移っていった。
樫田は、口腔に押し入って来た舌が激しく蠢くのを受け止め、流し込まれる唾液を嚥下した。
キスの際にも二人の関係は変わらないかに思えるが、そうではなかった。
主導権を握っていながらも、必死になっているのは若菜の方だ。
彼女の頬は赤く染まり、身体はどんどん熱を帯びていっていた。
樫田が薄目を開いて若菜の表情を盗み見る。閉ざされたまぶたを長い睫毛が彩り、整った顔立ちは切なげに歪んでいた。
程なくして、若菜が音を上げるように口付けを解いた。
息を乱す彼女だが、満足している様ではなかった。その瞳は物欲しそうに潤んで妖しく輝いていた。
再び樫田の方から動いて口付けを再開する。
小さく悲鳴を上げた若菜だが、ひとたび唇が触れ合えば、先と同じく突進するような勢いで舌を伸ばした。
彼女がこうもキスに熱中するのには理由がある。
取り立てて樫田の舌使いが巧みな訳ではないが、舌と口腔に関しては性器ほどの個人差がないからだ。
つまり、若菜にとってはキスはセックスの代償行為だった。
以前に一度だけ試みたことがあるのが、やはり樫田のそれでは若菜を満足させることは出来なかった。
若菜の口から不満を告げられた訳ではないが、さすがの樫田にも察しはついている。彼は口腔に広がる甘い痺れに酔い痴れながらも、心のどこかでは寂しさや無力感を覚えずにはいられなかった。
樫田が若菜に甘えるのは、そうした心の隙間を埋める為でもあった。
互いの唾液がそっくり入れ替わり、舌の感覚が麻痺していく。
あまりの快感に舌は、とろりと溶けて混じり合い、一つの柔らかな塊になったのではないか。そう錯覚するほどに長く激しい口付けの末、若菜は満足げな顔でベッドに腰掛けた。
火照った顔に優しげな笑みを浮かべて「おいで」と樫田を呼んだ。
近付いてきた彼を若菜が抱き締め、ベッドに倒れ込む。
樫田の方からも腕を回し、彼女に抱き付く。胸に顔を埋めながら、猫なで声で何度も名を呼び、好きだと告げた。
それから「脱がせて欲しい」と若菜にせがんだ。
若菜は樫田の頭をくしゃくしゃと撫でたあと、全ての衣服を脱がせてやった。
全裸になった樫田はベッドを下りて、床に座った。
上体を起こした若菜が彼を見下ろして訊ねる。
「次はどうして欲しい?」
「宮久保さんの匂いを嗅がせて欲しい」
「またそれか。まあ、私が始めたことだから仕方ない」
渋々といった口調だが、表情はその限りではない。
若菜は彼女の匂いを嗅いだ樫田が、ペニスを膨らませ、亀頭を我慢汁に濡らす姿を見るのが好きなのだ。
「ほら」と投げ出された、タイツに彩られた足に樫田が顔を押し当てる。鼻を鳴らして蒸れた匂いを堪能する。
樫田のペニスは若菜が期待していた通りの反応を見せた。
はち切れんばかりに怒張し、ぴくぴくと律動している。
蒸れた足の匂いを充分に愉しんだ後、樫田は発情した顔で若菜を見上げて言った。
「わ、腋の匂いも嗅がせて欲しい」
「仕方ないな」と、言葉とは裏腹の嬉しそうな声を上げながら若菜がセーターを脱いだ。
キャミソール姿になった若菜が、腕を大きく上げて腋を露わにする。
しっとりと汗が滲んだ滑らかな窪みは、女陰に劣らぬほどの淫靡な気配を纏っている。
花に群がる蝶のように、樫田はゆらゆらと若菜の腋に顔を寄せた。
「くすぐったい」と若菜に叱られるまで、執拗に鼻を鳴らした。
「なあ、今どうなってるのか、見せてよ」
若菜にそう言われて、樫田はベッドを下りて立ち上がった。
彼の男根は、どれだけいきり立とうとも、おのずから包皮が剥けることはない。亀頭をすっぽりと覆う皮の先端は巾着袋の口に似ている。無数の深い皺の間には水気が滲んでいた。
その様相を見つめる若菜は熱に浮かされたようになっていた。
「樫田のおちんちんは、いつ見ても可愛いな」
妖しい笑みを浮かべて言いながら、それへと手を伸ばす。
ほんの僅かに手が触れただけで樫田は「あう」と呻いた。
若菜はくすくすと笑ったが、それは嘲りではなく、彼の反応を可愛らしい、微笑ましいと感じた結果だ。
「宮久保さん。宮久保さんの手で……剥いて欲しいです……」
樫田の懇願を受けて、若菜は筒状に丸めた手で、彼のペニスを覆った。それからゆっくりと、本当にゆっくりと根元へ向けて手を下げていく。
一秒を一時間に引き伸ばされているのでは? と疑うほどに焦らされながら包皮を剥かれる。
その快感に、樫田は大いに喘ぎ、身悶えた。
やがて亀頭が完全に顔を出す頃には、完全に腰砕けになっていた。
下半身をガクガクと震わせながら、その場にへたり込む。
「剥かれただけで立っていられなくなるなんて、本当に敏感だな。……それに、こんなに濡らして」
そう言って、若菜は亀頭を濡れ光らせている我慢汁を指で拭い取った。
指先の粘液をぺろりと舐め上げてから言う。
「もっと愉しんでいたいけど、明日のこともあるからな。そろそろ出して終わりにしようか?」
樫田としても名残惜しかったが、彼女の言うことももっともだ。
仕方ない、といった調子で頷く。
「そうしょげるなよ。……そもそも、射精は射精で気持ち良いんだろう?」
それももっともだ。
下着だけの格好になった若菜がベッドに仰向けになり、その上に樫田が覆い被さった。
それだけを見れば樫田が若菜を抱かんとしているように感じられるが、そうではない。
樫田の胴体は、背に回された細い腕で抱き締められ、我慢汁でぐっしょりと濡れたペニスは、肉感的な白い太ももに挟み込まれていた。
「いっぱい気持ち良くなって、可愛く射精するところを見せてくれ」
若菜に頭を撫でながらそう言われたのを切っ掛けとして、樫田が腰を振り始める。
ローションを用いたのではないかと疑うほどに滑らかに、ペニスが太ももの間を行き来する。それだけ大量の先走り汁が分泌されていた。
腰の動きに合わせて、くちゅ、くちゅと湿った音が部屋に響く。
次第に腰振りを激しくさせていく樫田は、絶頂の影がにじり寄ってくるのを認めていた。加えて、それに抗う術がないことも。
むっちりとした太ももが作り出す心地よい圧迫感。後頭部を優しく撫で付ける若菜の手。彼女の身体から立ち上る女の匂い。「気持ち良い?」「可愛い」と慈愛に満ちた声音で紡がれる言葉。
悦びと興奮がペニスをどこまでも敏感にしていくようだった。
肉棒の根元へ向かって、睾丸がきゅっとせり上がった。
樫田が切羽詰まった声を上げた。
「宮久保さんっ、も、もう出ちゃいそうっ、だ、出して良い?」
「あ、待って、待って。少し身体を離して顔を上げて!」
今にも理性を突き破り、白濁液という形を成して体外に溢れ出してきそうな快感をなんとか堪えて、樫田は若菜の求めに従った。
若菜は嬉しそうに樫田の顔を見上げて言った。
「射精する時の可愛い顔が見たかったんだ。これで大丈夫。……だから、ほら、出して?」
どこかうっとりとして聞こえる若菜の声に促されるまま、樫田は熱いものを迸らせた。
ぶびゅるっ、びゅるる!
太ももの間でドクドクとペニスが脈動する感触を確かめながら、若菜は樫田をきつく抱き締めた。
ややして、樫田がゆらりと身体を起こした。
「宮久保さん……」
彼が名を呼ぶと、若菜は柔らかく微笑んだ。
かつては二人の縁結びの役を果たした、樫田の小さく短い包茎。今の二人にとってのペニスは些かな障害と化しているが、若菜はそれを愛しく感じ始めている。
それゆえに、若菜は半ば強引に樫田を仰向けに寝かせて、彼の股間に顔を埋めた。
射精したばかりの敏感なペニスを口に含まれ、尿道に残る精液を吸い上げられる。くすぐったさに身悶える樫田だが、そこまで愛して貰えているのだと思えば、全く嫌な気はしなかった。
彼らの仲が如何なる変化を辿るのか――短小包茎なりの美点を見出し、一般的な男女のような仲になっていくのか、あるいはより強固な主従関係を築いていくのか――それは誰にも分からぬことなのだった。
以前に比べて幾分か男女の仲に近付いたものの、根本的な部分は変わっていない。つまり、ペットと飼い主のそれに限りなく近い主従の仲だ。
樫田が再教育クラスに在籍している間の二人は、女子寮の一室で共に過ごしていたが、今はそうではない。
だからと言って、全うな学生のように健全な関係になった訳でもないのは、前述の通りだ。
もとより最も目を付けられやすい頭髪に関する校則を破っている若菜にとって、男子寮に忍び込むぐらいのことは、息をするのに等しいものだった。
彼らの淫らで倒錯的な行為は、もっぱら樫田の私室で行われ続けていたのである。
ある晩秋の晴夜、机に向かっていた樫田の耳に、窓をノックする音が届いた。そんなことをするのは若菜ぐらいのもので、彼は嬉々として窓辺に寄った。
窓の向こう、眩い月明かりの下に若菜が立っている。目が合うと、彼女は微笑んで片手を開けた。
樫田が窓を開くと、若菜は女性らしからぬ動きで部屋に上がり込んだ。
どうやら彼女は遊びに出掛けていたらしく、余所行きの格好をしていた。
ミニスカートから黒いタイツに覆われた脚をすらりと伸ばし、身体の輪郭がくっきりと浮き出るようなセーターを着ている。その上にコートを羽織っているが、それは肩に掛かっている程度で飾り以上の効果はないように思えた。
若菜の脱いだ靴を受け取り、彼女の為に用意した靴置きに乗せながら、樫田は訊ねた。
「外は寒かったんじゃない?」
彼女と出会ったばかりの頃に見せていた、おどおどとした様子は微塵も感じさせない軽やかな口調だ。
「ああ。秋と言っても、ほとんど冬に片足を突っ込んでいるようなもんだからな」
ほら、と言って若菜は、両手で樫田の頬を挟み込む。
頬に触れた彼女の手がとてもひんやりとしているのを認めて、樫田はその手を掴んで頬から離した。
それから若菜の手を温めるようにぎゅっと握り直した。
しばし二人はそのままの体勢で、黙って向かい合っていた。
若菜がふふ、と笑い声を上げた。
どうしたのかと樫田が訊ねると、彼女はこう言った。
「すっかり女子にも慣れたもんだな、と思ってな。昔のお前なら手を繋いだだけで射精するんじゃないかってぐらいだったのに」
「宮久保さんのおかげだよ」
彼女と過ごす内に異性という存在に慣れることが出来た。
共に過ごした時間の長さもその要因であるが、それ以上に手と手の接触などは大したことではないと思えるほどに淫らな行為を重ねてきたのが大きい。
淫らな行為と言っても、一般的なそれとは少し異なっているのは、二人の関係性からして言うまでもない。
樫田が若菜と接する中で得たものは、異性への慣ればかりではない。
愛玩動物としての振る舞い、つまりは甘えることを学んでいた。
少し照れくさそうな表情を浮かべた樫田がこう告げた。
「宮久保さん。……して欲しくなっちゃった」
「ん?」と首を傾げる若菜だが、その表情は彼が何をして欲しいのかを既に察しているようだった。
ますます照れた顔をしながらも、樫田ははっきりと言った。
「エッチなことして可愛がってください」
「全く。おねだり上手になりやがって」
若菜の声音は嬉々としていた。
どちらが女子か分からなくなるような手荒さで樫田を抱き寄せた。
夜の外気がもやのように若菜に纏わり付いているのを、樫田の嗅覚が認めた。
若菜の手が樫田の頬に添えられる。
樫田は眼前の強気な瞳がうっとりと潤んでいく様に見惚れて、吸い寄せられるようにして彼女にキスをした。
先に動いたのは樫田であったが、すぐに主導権は若菜へと移っていった。
樫田は、口腔に押し入って来た舌が激しく蠢くのを受け止め、流し込まれる唾液を嚥下した。
キスの際にも二人の関係は変わらないかに思えるが、そうではなかった。
主導権を握っていながらも、必死になっているのは若菜の方だ。
彼女の頬は赤く染まり、身体はどんどん熱を帯びていっていた。
樫田が薄目を開いて若菜の表情を盗み見る。閉ざされたまぶたを長い睫毛が彩り、整った顔立ちは切なげに歪んでいた。
程なくして、若菜が音を上げるように口付けを解いた。
息を乱す彼女だが、満足している様ではなかった。その瞳は物欲しそうに潤んで妖しく輝いていた。
再び樫田の方から動いて口付けを再開する。
小さく悲鳴を上げた若菜だが、ひとたび唇が触れ合えば、先と同じく突進するような勢いで舌を伸ばした。
彼女がこうもキスに熱中するのには理由がある。
取り立てて樫田の舌使いが巧みな訳ではないが、舌と口腔に関しては性器ほどの個人差がないからだ。
つまり、若菜にとってはキスはセックスの代償行為だった。
以前に一度だけ試みたことがあるのが、やはり樫田のそれでは若菜を満足させることは出来なかった。
若菜の口から不満を告げられた訳ではないが、さすがの樫田にも察しはついている。彼は口腔に広がる甘い痺れに酔い痴れながらも、心のどこかでは寂しさや無力感を覚えずにはいられなかった。
樫田が若菜に甘えるのは、そうした心の隙間を埋める為でもあった。
互いの唾液がそっくり入れ替わり、舌の感覚が麻痺していく。
あまりの快感に舌は、とろりと溶けて混じり合い、一つの柔らかな塊になったのではないか。そう錯覚するほどに長く激しい口付けの末、若菜は満足げな顔でベッドに腰掛けた。
火照った顔に優しげな笑みを浮かべて「おいで」と樫田を呼んだ。
近付いてきた彼を若菜が抱き締め、ベッドに倒れ込む。
樫田の方からも腕を回し、彼女に抱き付く。胸に顔を埋めながら、猫なで声で何度も名を呼び、好きだと告げた。
それから「脱がせて欲しい」と若菜にせがんだ。
若菜は樫田の頭をくしゃくしゃと撫でたあと、全ての衣服を脱がせてやった。
全裸になった樫田はベッドを下りて、床に座った。
上体を起こした若菜が彼を見下ろして訊ねる。
「次はどうして欲しい?」
「宮久保さんの匂いを嗅がせて欲しい」
「またそれか。まあ、私が始めたことだから仕方ない」
渋々といった口調だが、表情はその限りではない。
若菜は彼女の匂いを嗅いだ樫田が、ペニスを膨らませ、亀頭を我慢汁に濡らす姿を見るのが好きなのだ。
「ほら」と投げ出された、タイツに彩られた足に樫田が顔を押し当てる。鼻を鳴らして蒸れた匂いを堪能する。
樫田のペニスは若菜が期待していた通りの反応を見せた。
はち切れんばかりに怒張し、ぴくぴくと律動している。
蒸れた足の匂いを充分に愉しんだ後、樫田は発情した顔で若菜を見上げて言った。
「わ、腋の匂いも嗅がせて欲しい」
「仕方ないな」と、言葉とは裏腹の嬉しそうな声を上げながら若菜がセーターを脱いだ。
キャミソール姿になった若菜が、腕を大きく上げて腋を露わにする。
しっとりと汗が滲んだ滑らかな窪みは、女陰に劣らぬほどの淫靡な気配を纏っている。
花に群がる蝶のように、樫田はゆらゆらと若菜の腋に顔を寄せた。
「くすぐったい」と若菜に叱られるまで、執拗に鼻を鳴らした。
「なあ、今どうなってるのか、見せてよ」
若菜にそう言われて、樫田はベッドを下りて立ち上がった。
彼の男根は、どれだけいきり立とうとも、おのずから包皮が剥けることはない。亀頭をすっぽりと覆う皮の先端は巾着袋の口に似ている。無数の深い皺の間には水気が滲んでいた。
その様相を見つめる若菜は熱に浮かされたようになっていた。
「樫田のおちんちんは、いつ見ても可愛いな」
妖しい笑みを浮かべて言いながら、それへと手を伸ばす。
ほんの僅かに手が触れただけで樫田は「あう」と呻いた。
若菜はくすくすと笑ったが、それは嘲りではなく、彼の反応を可愛らしい、微笑ましいと感じた結果だ。
「宮久保さん。宮久保さんの手で……剥いて欲しいです……」
樫田の懇願を受けて、若菜は筒状に丸めた手で、彼のペニスを覆った。それからゆっくりと、本当にゆっくりと根元へ向けて手を下げていく。
一秒を一時間に引き伸ばされているのでは? と疑うほどに焦らされながら包皮を剥かれる。
その快感に、樫田は大いに喘ぎ、身悶えた。
やがて亀頭が完全に顔を出す頃には、完全に腰砕けになっていた。
下半身をガクガクと震わせながら、その場にへたり込む。
「剥かれただけで立っていられなくなるなんて、本当に敏感だな。……それに、こんなに濡らして」
そう言って、若菜は亀頭を濡れ光らせている我慢汁を指で拭い取った。
指先の粘液をぺろりと舐め上げてから言う。
「もっと愉しんでいたいけど、明日のこともあるからな。そろそろ出して終わりにしようか?」
樫田としても名残惜しかったが、彼女の言うことももっともだ。
仕方ない、といった調子で頷く。
「そうしょげるなよ。……そもそも、射精は射精で気持ち良いんだろう?」
それももっともだ。
下着だけの格好になった若菜がベッドに仰向けになり、その上に樫田が覆い被さった。
それだけを見れば樫田が若菜を抱かんとしているように感じられるが、そうではない。
樫田の胴体は、背に回された細い腕で抱き締められ、我慢汁でぐっしょりと濡れたペニスは、肉感的な白い太ももに挟み込まれていた。
「いっぱい気持ち良くなって、可愛く射精するところを見せてくれ」
若菜に頭を撫でながらそう言われたのを切っ掛けとして、樫田が腰を振り始める。
ローションを用いたのではないかと疑うほどに滑らかに、ペニスが太ももの間を行き来する。それだけ大量の先走り汁が分泌されていた。
腰の動きに合わせて、くちゅ、くちゅと湿った音が部屋に響く。
次第に腰振りを激しくさせていく樫田は、絶頂の影がにじり寄ってくるのを認めていた。加えて、それに抗う術がないことも。
むっちりとした太ももが作り出す心地よい圧迫感。後頭部を優しく撫で付ける若菜の手。彼女の身体から立ち上る女の匂い。「気持ち良い?」「可愛い」と慈愛に満ちた声音で紡がれる言葉。
悦びと興奮がペニスをどこまでも敏感にしていくようだった。
肉棒の根元へ向かって、睾丸がきゅっとせり上がった。
樫田が切羽詰まった声を上げた。
「宮久保さんっ、も、もう出ちゃいそうっ、だ、出して良い?」
「あ、待って、待って。少し身体を離して顔を上げて!」
今にも理性を突き破り、白濁液という形を成して体外に溢れ出してきそうな快感をなんとか堪えて、樫田は若菜の求めに従った。
若菜は嬉しそうに樫田の顔を見上げて言った。
「射精する時の可愛い顔が見たかったんだ。これで大丈夫。……だから、ほら、出して?」
どこかうっとりとして聞こえる若菜の声に促されるまま、樫田は熱いものを迸らせた。
ぶびゅるっ、びゅるる!
太ももの間でドクドクとペニスが脈動する感触を確かめながら、若菜は樫田をきつく抱き締めた。
ややして、樫田がゆらりと身体を起こした。
「宮久保さん……」
彼が名を呼ぶと、若菜は柔らかく微笑んだ。
かつては二人の縁結びの役を果たした、樫田の小さく短い包茎。今の二人にとってのペニスは些かな障害と化しているが、若菜はそれを愛しく感じ始めている。
それゆえに、若菜は半ば強引に樫田を仰向けに寝かせて、彼の股間に顔を埋めた。
射精したばかりの敏感なペニスを口に含まれ、尿道に残る精液を吸い上げられる。くすぐったさに身悶える樫田だが、そこまで愛して貰えているのだと思えば、全く嫌な気はしなかった。
彼らの仲が如何なる変化を辿るのか――短小包茎なりの美点を見出し、一般的な男女のような仲になっていくのか、あるいはより強固な主従関係を築いていくのか――それは誰にも分からぬことなのだった。
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